2014年12月15日

ある団塊 早稲田界隈

●新江戸川公園
都電早稲田停留所の先の、神田川に掛かる豊橋を渡ると、ここもまだ当時は整備されていない、庭園内は荒れ放題だった新江戸川公園があった。池に古舟が浮かんでいて、ジャリ場(※)の在日の連中が2〜3人でこの古舟に乗って遊んでいた時、その舟が急に傾きだし沈没してしまった。その光景をR・Kと見ていて、思わず声をあげて笑ってしまったところ、「おまえら、チョットまて! 」と呼び止められられた。これはヤバイと思ったR・Kと自分は懸命にその場から逃げた。自分は都電早稲田停留所の近くで肉屋を経営していた叔父の店の中に駆け込み、難を逃れた。R・Kは公園からほど近くにあった自宅の裏口から逃げ帰った。在日の連中はケンカはめっぽう強かったので、捕まったら最後、どうとっちめられるか分からななかった。
※(ジャリ場)江戸時代の頃、神田川にあった川砂利の集積場があったところで、早稲田界隈の人達は在日の人たちの家が集積していたのをジャリ場と呼んでいた。

新江戸川公園 入口写真.JPG

新江戸川公園 入口写真

新江戸川公園 池の主審.jpg

新江戸川公園 整備以前の写真

●子供相撲大会とジャリ場の有田3兄弟(在日二世)
グランド坂下の金城庵から裏道に入ったと所に早稲田のOBたちがよく通う、おでんが名物の居酒屋志乃ぶとの横が、都電通りを挟んで空き地となっていた(高野質屋の所有地)。現在は駐車場となっているところに相撲の土俵があった。この有田3兄弟も在日だったが、ケンカも相撲もめっぽう強かった。この土俵で年一回、子供相撲大会が行われていた。自分も小学校では相撲は一二を争う程強かったが、ここの相撲大会の学年別子供相撲対抗戦の決勝では、有田兄弟の一番下の弟と対戦したが、彼には毎年のように負けていた。

子ども相撲の土俵 写真.jpg

高野質店の敷地にあった子供相撲の土俵

志のぶ 写真.jpg

おばちゃん写真志のぶ .jpg

居酒屋 志乃ぶ 名物女将さん

●大隈通りの銭湯の恵比寿湯 
大隈通り商店街の途中を路地に入ったところに恵比寿湯という銭湯があった。
ときどき学校から早く帰った日など銭湯の一番風呂(午後4時から営業)に入りに行くと、大隈通り中程にある運送屋の斎藤爺さんと出合った。この爺さんは必ず一番風呂の時間に来ていた。 一番風呂はともかく熱かった。二つあるぬるい方の湯船でさえ子どもには熱過ぎて入れず、水をジャージャー出して熱い湯を冷ましていた。するといきなり後ろから手桶に汲んだ水を斉藤爺さんにひっかけられ、「せっかく沸かした湯をうめるんじゃねえ」猛烈な剣幕で、こう怒鳴られた。
しかし翌日通りで斉藤爺さんと会うと、今度は機嫌が良かったのか、飴玉をくれたりしてご機嫌なことも多かった。今考えてみると、エネルギーを無駄遣いするなとのメッセージだったのか。
それにしても、こうした“親父”は今のコミュニティではいなくなってしまった。
そもそも近年の町には、銭湯も子どもたちの姿もあまり見かけなくなってしまった。

恵比寿湯 写真.jpg

早稲田の銭湯 恵比寿湯

●恵比寿湯で、まさかの出来事が。しかしそれは事実だった 女湯に大人の男性が入浴してきのだ。
まだ小学生だった自分はときどき母親と一緒に女湯に入ることがあった。当時は逆に父親が娘を連れて男湯に入ったりすることも普通のことだった。ある時母親と女湯に入っていて、不思議な光景を見た。自分が先に湯船に入っていたとき、“そのひと”が胸から腰に大きめなタオルを巻いて、湯船に足を入れてきた。すると腰に巻いたタオルが割れて股間の部分が、湯船に体を沈め低い姿勢でいた自分に見えてしまったのだ。それは紛れもなく“男のシンボル”だった。自分は何か見てはいけないものを見てしまったような屈折した気持ちになった。それは今の時代の視点で考えてみれば、その人は性同一障害者だということなのだろう。銭湯から出てからも、母親にその話をすることは憚られるような気持ちのままでいた。

●そして銭湯は地域の社交の場
高校生の頃になって、たまに深夜の12時頃銭湯に行くと、そこは仕事を終えた人たちの町の社交場だった。大隈通りをまがって正面にあったランチハウス「ときわ」の名物親父の浜岡さんや都電通りにあったパチンコ屋三光堂の従業員たち、自分達は鉄人28号と呼んでいた在日のパチプロのヤッサンや、“わらじカツ”で有名な大隈通りの中ほどにあった早栄軒のとしちゃん、グランド坂の途中あった“ひげの焼き鳥くに兵”の豊かさんなど、仕事を終えて一汗流しに来る早稲田の商店街の人たちで大賑わいだった。

写真早栄軒 .JPG

大隈通り商店街の早栄軒

ある団塊 No.19 2014.12.15.


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